製造業の品質管理システムとは?品質管理の課題とソリューションを完全解説!
最終更新日:2022-8-31
品質管理は顧客満足度(CS)の向上、ひいては企業利益に直結する重要課題です。
しかし従来の品質管理には、納品時の検査漏れや、品質を維持するために必要な人材不足などさまざまな問題点が潜んでいます。
企業が恒常的に高品質な製品・サービスを生み出し続けるには、効率的な品質管理システムが欠かせません。
この記事では、品質管理をテーマに以下の点を取り上げます。
・品質管理の重要性および品質管理システムの意義
・従来の品質管理においてありがちな問題点
・効率的な品質管理に欠かせないソリューション
最後に、企業の品質管理をサポートする品質管理システムソフトもご紹介します。
品質管理システム(QMS)とは
品質管理は企業の利益に直結するため、その良し悪しは企業の存続そのものに影響を与えるといっても過言ではありません。
品質管理の課題や品質管理システムのメリットについて考えるうえで、最初に以下の点を簡潔に振り返っておきましょう。
そもそも「品質管理」とは
「品質管理」とは、名称のとおり「製品の品質を管理(マネジメント)すること」です。
品質管理は、「製品の品質目標を達成し、高め続け、顧客満足度の向上につなげること」を目的に実施されます。
なお、品質管理は生産管理の一部です。
生産管理は「生産を最適化するための管理」であり、品質管理よりも多くの業務が行われます。
例えば「需要の見通し」「生産計画」「資材確保」「工程管理」「品質管理」「在庫管理」「予算管理」などの業務です。
品質管理が重要な理由
製造現場において、品質管理は最上位に位置するほど重要な項目です。
先述のとおり、品質の良し悪しは企業存続を左右するほど多くの影響力をもっているからです。
品質の悪い製品を出荷してしまえば、顧客満足度は落ちてしまいます。
そうなれば会社の信頼は失われ、将来の販売機会損失につながるでしょう。
一度企業の評判が落ちてしまうと、それを取り戻すのは本当に大変です。
万が一不良品によって事故が起き、顧客に何かしらの被害が出れば、さらに問題は深刻です。
企業の規模や事故の程度にもよりますが、場合によっては社会問題に発展する恐れすらあります。
たった1つの不良品・欠陥でも大問題になりえることを考えると、品質管理が極めて重要であることに疑問の余地はありません。
品質管理を実現する方法
品質管理を実施する方法には、以下のようなものがあります。
QC7つ道具
製造プロセスの中で収集される統計データを整理・分析するツール群で、以下のものが含まれます。
・パレート図:棒グラフや曲線により、特定の問題点と全体の中での割合を示した図。改善の優先順位を決めるのに使われる
・ヒストグラム:特定のデータを区分けして度数分布や平均値を示す棒グラフで、全体の傾向を示すのに役立つ
・特性要因図:問題点を階層構造にした図で、特定のトラブルの理由を詳細に分析するのに用いられる
・散布図:2種類のデータ(原因と結果)の相関関係を示した図で、問題が発生しやすいゾーンを見つけるのに役立つ
・管理図:折れ線グラフにより、不具合発生件数を時間軸で観察できる図で、製造工程の安定度を見るのに使われる
・グラフ:円グラフや折れ線グラフ・棒グラフなどでデータを視覚的にわかりやすくまとめたもの
・チェックシート:細かくチェックポイントを記録するシートで、品質管理に必要なデータを収集するのに有効
FineReport生産管理システムQC7つの道具画面イメージ:
トレーサビリティ
原材料や資材の調達から消費に至るまでのフローを記録し、追跡する方法です。
工程全体を追跡調査することで、トラブルや責任の所在を明確にでき、製品の信用度を向上させることもできます。
FineReportで作成した製品品質トレーサビリティダッシュボード画面:
PDCA
以下の4つのプロセスを実施し、継続的に品質管理を行う方法です。
・計画(Plan):予測や実績をベースに業務計画を作る
・実行(Do):計画に合わせて業務を実行する
・評価(Check):計画に沿って業務が進んでいるかをチェックする
・改善(Action):計画と実際のズレの原因を見極めて改善策を講じる
不良分析マップ
不良の原因をまんべんなく分析するマップツールです。
各工程を列方向に、人や方法・情報などの項目を行方向に記載し、問題の原因を探って再発防止策を講じるのに使われます。
FineReportで作成した品質日報のイメージ:
品質管理システムは「品質管理を滞りなく行う仕組み」
「品質管理システム(Quality Management System)」とは、「品質管理を滞りなく行う仕組み」です。
品質管理を徹底するには、全体的かつ体系的な仕組みが欠かせません。
品質目標や経営陣の方針を決めることをはじめ、現場での検証や改善をまんべんなく実施する必要があります。
しかし品質管理のやり方が周知されていないと、ヒューマンレベルでのミスが多発する恐れがあります。
そのため品質管理のルールを定め、システムとして確立する必要があるのです。
品質管理システムを考えるうえで、参考要素になるガイドライン(規格)があります。
代表的なのは以下のガイドラインです。
・ISO9001:製品やサービスの国際基準を決める「ISO」が定めたガイドライン(9001は企業の管理システムに関する規格)
・JIS Q 9001:ISO9001の日本語訳
・SQF:安全・高品質な食品に関する国際ガイドライン
このようなガイドラインに準じた品質管理システムを構築すると、各規格団体から認証を受け、企業の信頼度が高まります。
製造業の品質管理においてよくある問題点
品質管理はすべての企業が注力する分野ですが、現状さまざまな問題点を抱える企業は少なくありません。
代表的な問題点を5つご紹介します。
Excelや紙主体の管理体制
Excelや紙主体で品質管理をする従来のやり方は、問題の温床となることがあります。
企業の業務成長に連れ、データ量が膨大化していきます。エクセルは大量データの処理と分析、共有、コラボレーションに不向きが出ます。エクセルでのデータ管理、レポーティング作業に限界を感じている企業がたくさんあります。
脱エクセルが提唱される理由がたくさんあります。
例えばExcelでの管理では、どうしてもファイルが多くなりがちで、どのファイルが最新のファイルなのか識別するのに手間がかかることがあります。
またファイル数が膨大だと、入力漏れや修正漏れなどのケアレスミスが誘発されやすいでしょう。
ファイルが個人のPCや別々のサーバーにわたって保管されている場合、適切なファイルを探し出すのが面倒です。
フォーマットが作業員ごとに異なると、データ統合に余計な手間がかかってしまいます。
またExcelでは複数の作業員が同時に編集するのが難しいため、情報共有に不備が出やすいでしょう。
重要なファイルが共有されなければ、品質管理に関するデータがリアルタイムに関係者の間で行き渡らない恐れがあります。
経験や勘などによるあいまいな対処法を講じている
経験や勘に頼って、あいまいな品質管理をしてしまうケースもあります。
現場作業員の経験値は価値あるものとはいえ、品質管理は確かなデータに基づくものであるべきです。
一部の作業員の経験や勘に頼っていると、問題の原因を正確に把握できず、当然対処法も不確かなものになります。
またこのような手法は属人化を併発する可能性もあります。
それなりに問題解決能力がある担当者がいるとしても、仮にその担当者が不在であれば問題は解決されません。
不良品の早期発見ができる体制がない
不良品をいち早く発見できる体制がないことも問題です。
不良品を生まないことが企業にとって最重要課題ですが、実際には不良品ゼロを達成し続けるのは困難です。
そのため、不良品の早期発見や不良品率を正確に把握して、いち早く改善策を講じなければなりません。
しかし作業員への教育が不足していたり属人化が起きていたりすれば、不良品への対処が後手に回ってしまう恐れがあります。
あるいは設備異常をリアルタイムに感知できる設備稼働監視システムが導入されていないケースでも、やはり不良品の発見に遅れが出てしまい、高い品質を維持する障壁になります。
検査主体の品質管理でムダが発生する
検査ばかりのムダが多い品質管理をしていることも、よくある問題点です。
不良品を納品しないよう検査をすることは欠かせません。
とはいえ問題なのは、検査ばかりに注力するあまり、人件費や資材コストが不用意に消費されることです。
検査はあくまで不良品を出荷しない上の対処法にすぎません。
品質管理でもっと重要なのは、製造工程において品質向上を図ることです。
検査に投資するのではなく、そもそも不良品を製造工程で出さないようにすることがカギです。
作業が標準化されていない
作業方法が標準化されていないと、品質のばらつきが起きる可能性があります。
正しい方法で業務を遂行されるには、まず関係するすべての作業員が作業ルールを理解しなければなりません。
何をどのようにしたらよいのか十分わからないまま作業に臨むと、クオリティーの高い成果物は作れません。
作業マニュアルを作ったり、熟練度が低い作業員に研修を行ったりなど、マンパワーの質を高めることが必要です。
品質管理システムを導入するメリット
適切な品質管理システムを構築するなら、品質管理を最適化できます。
では具体的にどのようなメリットがあるでしょうか?
代表的なメリットを3つご紹介します。
品質管理を「見える化」できる
品質管理システムにより、品質管理の「見える化」が進みます。
品質管理をブラッシュアップするには、品質管理に関する種々のデータを可視化することが大切です。
データが可視化されると、品質を把握したり、改善策を考えたりする下地ができるからです。
例えばIoTを導入して設備異常や製品の不良などをリアルタイムで観察できるようにすれば、品質向上への意識が高まります。
またスピーディーに不良トラブルを発見し対策を打てるでしょう。
FineReportで作成した生産総合分析ダッシュボードのイメージ:
情報を一元管理できる
品質管理システムは、情報の一元管理もサポートします。
情報が散在していると、本来は品質改善に役立つであろうデータがサイロ化してしまいます。
例えば先述のように、Excelを主体とした管理では、属人化やファイル管理の複雑化などが懸念されるでしょう。
一方、情報を一元管理できる仕組みを構築できれば、異なる部門間(商品開発部・生産技術部・製造生産管理部・営業部・品質保証部など)で情報共有が進みます。
同じ情報にスムーズなアプローチができると、品質改善のヒントとなる「気付き」を促進することにもつながるはずです。
コストダウン
コストダウンが期待できるのも、品質管理システム導入のメリットです。
見える化や情報の一元管理によって品質管理の精度が上がれば、不良品を気にして検査ばかりすることがなくなります。
そうなれば資材のムダがなくなるほか、人件費も縮小できます。
品質管理システムソフトで品質管理ブラッシュアップを実現
「FineReport」で、効率的な品質管理システムの仕組みを作りませんか?
「FineReport」は、製造業を中心に、世界1万5,000社以上の企業さまから高評価をいただいているソフトで、データの可視化とデータ入力を兼ね備えた二刀流ツールです。
ローコーディングツールとして、短期間、低コストで業務システムの開発構築が可能。既存システムと柔軟に連携し、企業の様々な業務課題を迅速に解決でき、各種データを統合させ、製品品質管理プラットフォームを構築します。
原料仕入れから生産・出庫に至るまでの記録データを可視化・一元管理し、品質トレースのデータ基盤を固めます。
生産フローにおける「ヒト・モノ・設備・結果としてのレポート」をプラットフォーム上で連携させることができるため、品質問題が発生した際には、責任者や異常設備・異常フローの追跡が可能です。
ほかにも、事前の設定値により問題を感知し異常指標を通知するため、トラブルを即時発見できます。
さらにモバイル端末アプリを使えば、生産ラインをオンライン点検可能。
場所に縛られない管理が実現します。
現在の品質管理に行き詰まりを感じている担当者の方は、ぜひ一度FineReportの公式サイトから、サービス詳細をご覧ください。
「FineReport」を導入し、品質管理システム開発によるアプローチで製品品質向上に成功
「FineReport」導入により、品質管理のブラッシュアップを実現した例をご紹介します。
蓄電池製造業のトップ企業である「Chilweeバッテリー」は、電池製品の生産プロセスが複雑なあまり、効果的な品質管理方法を持ち合わせていませんでした。
またデータを管理するプラットフォームがなく、データの有効活用もままならない状態でした。
そこで「FineReport」により、品質ビッグデータ分析プラットフォームを構築。
品質問題に対して統計と分析によるアプローチを行い、製品品質向上に成功しました。
具体的には、ITを活用してリアルタイムの生産ライン監視や警報・分析などのデータを可視化するなどし、情報収集の推進や、既存の問題に対する系統的な研究と改善を行えるようにしています。
「FineReport」によるデータシステム連携で業務品質と業務効率が向上
もう一点「FineReport」導入により、品質管理のブラッシュアップを実現した例をご紹介します。
電気自動車電池の開発や製造に携わる企業では、フォーマットが異なるためにデータが連携されず、有効活用されていませんでした。
データ連携が行われないことによる業務効率の低下から、生産計画に対する現場スタッフの認識不足やモチベーション低下も課題でした。
そこで「FineReport」を導入し、ばらばらだったデータシステムを連携。
さらにIoTデータ可視化プラットフォームを構築して、現場に巨大スクリーンを設置させるようにしました。
結果として生産品質をその場で確認できるようになり、現場スタッフの品質保証への意識付けや、やる気向上につながりました。
また経済利益は3億円以上となり、良品率は10%以上もアップしています。
まとめ
品質管理システムとは「品質管理を滞りなく行う仕組み」です。
たった1つの品質トラブルで企業存続が危ぶまれることがあるほど、製造業界における品質管理はシビアです。
従来の品質管理にありがちな問題点が見られる場合、そのまま放置すると、多くのムダが生まれる温床になりかねません。
品質管理を最適化するには、見える化や情報の一元管理を推進する品質管理システムの構築が必要です。
「FineReport」の強力な可視化機能やデータ管理機能を通して、現場の管理体制を強化してみてください。
システム導入に役立つ記事