設備総合効率OEE可視化で変革するデジタル製造業
最終更新日:2022-7-14
目次
設備総合効率とは
「設備総合効率」(OEE、英語:overall equipment efficiency)は、生産管理の分野で設備の効率や生産性を評価するために用いられる指標で、稼働率、性能、品質により算出・決定されます。
OEEは設備がどの程度効率よく使われているかを測定する指標で、設備効率を阻害するロスと関連付けて算出します。工場/生産ラインの実際の生産能力を反映するため、OEEは多くの生産指標の中で最も重要な指標となっています。基本的には、生産ライン、機械、ワークステーションの最大パフォーマンスと比較した製造パフォーマンスを測定するものです。
また、oeeにはシナリオや業界の区別が明らかで、oeeの計算結果を見ても一般化できません。OEEは単なる数字ではなく、その数字の裏には、工場や生産ラインの具体的な「ロス」が反映されているのです。
生産プロセス全体から見ると、OEEの損失は、稼働率(停止)の損失、性能の損失、品質の損失の3つの要因に分類されます。これらの損失は、故障、段取り・調整、刃具交換、立上がり、空転・チョコ停、速度低下、不良・手直しの「7つの設備ロス」に分けられます。 設備総合効率OEEのトレースと最適化の第一の目的は、7つロスを削減することです。
設備総合効率の計算式と計算例
設備総合効率の計算式
OEE=時間稼働率×性能稼働率×良品率
OEEの構成要素
時間稼働率
設備が動くべき時間(付加価値時間)に対し、実際に動いた時間(稼働時間)がどれだけの比率であるかの尺度です。
時間稼働率=稼働時間/負荷時間
負荷時間=実稼動時間-計画停止時間
稼働時間=負荷時間-計画外停止時間
性能稼働率
設備が本来持っている性能が十分発揮されているかどうかを示す尺度
速度稼働率の相乗積で表される
性能稼働率=正味稼動率× 速度稼働率
正味稼動率=加工数量×基準サイクルタイム/稼働時間
速度稼働率=基準サイクルタイム/実サイクルタイム
良品率
加工した数量に対して、実際にできあがった良品数の割合
良品率= 良品数 / 加工数量
良品数= 加工数量-不良品数
OEEの計算例
上記の計算式をよりよく理解するために、以下に計算例を挙げて説明します。
ある会社は8時間働き、468個の良品を生産しました。
基準サイクルタイムは0.5分、実際の稼働時間は0.72分、1個の製品を修理して4個の製品を廃棄しました。
計画停止時間は40分、計画外の停止時間は70分でした。
上記の式に従って整理すると、次のようになります。
1、【時間稼働率=稼働時間/負荷時間】
実稼働時間=8時間×60分=480分
負荷時間=実稼動時間-計画停止時間=480-40=440分
稼働時間=負荷時間-計画外停止時間=440-70=370分
時間稼働率=稼働時間/負荷時間=370/440≈84.09%
2、【性能稼働率=正味稼動率× 速度稼働率】
加工数量=468+1+4=473個
正味稼動率=加工数量×基準サイクルタイム/稼働時間=473*0.5/370≈63.92%
速度稼働率=基準サイクルタイム/実サイクルタイム==0.5/0.72≒69.44%
性能稼働率=正味稼動率× 速度稼働率=63.92%*69.44%≈44.39%
3、【良品率= 良品数 / 加工数量】
良品率=良品数 / 加工数量=468/473≒98.94%
4、OEE=時間稼働率×性能稼働率×良品率=84.09%*44.39%*98.94%≈36.93%
製造現場では、デジタルデータの統合、製造プロセスの改善や、稼働の効率化を促すスマートファクトリー化への注目が集まる中、その実現に向けて様々な取り組みや課題へのソリューションが求められています。
OEE改善の目標は時間稼働率90%以上、性能稼働率95%以上、良品率99%以上でこれらの相乗積の設備総合効率は85%以上を目指します。
業種によるOEE水準に違いがありますが、製造業で言うと、一般工場の平均がは30~60%程度で、低水準にとどまり、製造業全体の高水準とされる85%以上には届いていません。
OEE改善の重要性
故障コストの削減
設備が動かなくなると生産が止まり、製品をお客様に提供できなくなるため、お金の流れや収益を影響します。 例えば、一般的な半導体製造工場では、1時間の装置停止で10万ドルの収入削減となる。これに対し、刃具の故障を1%に減らすと、年間の停止時間による故障コストを大幅に削減することができます。
保全コストの削減
OEEは保全を予測することができるため、コストを削減することができます。 停止時間が増加した場合、保守部門はその傾向を分析し、故障の発生を予測します。 0EEを監視するシステムを利用すると、保守部門は予知保全のための行動を事前に行うことができます。 例えば、OEEを把握することで、保守部門は事前に部品を発注し、業務効率化にすることができます。
また、OEEは人員配置の最適化にも役立ちます。 臨時の保守作業員を雇うのをしなくて、故障してからの修理に比べれば大幅なコスト削減が可能です。
労働効率の向上
OEEは、チョコ停の原因を分析するだけでなく、正確な生産データの取得や生産性の向上にも役立てます。 これらのデータを利用して、管理者は従業員の生産性に基づいた仕事の割り当てを合理化し、労働効率を向上させることができます。
品質保守コストの削減
品質レベルとは、製品総数のうち合格品の割合である。OEEを監視するシステムを利用したら、部品の総数、不良品の数や故障の原因などを把握できます。 これらの情報は、特定の設備や生産ラインで得られるため、その設備の加工能力がわかるのです。 OEEによる品質データを追跡し、生産管理者は品質問題の原因を突き止め、再加工や廃棄のコストを削減することができます。各工程で生産品質を向上させるための情報を重視することで、保守コストを削減します。
生産力の向上
設備の故障を減らし、作業員の生産性を向上させ、部品の故障を減らすことで、同じ資源で最大の生産性を実現することができます。 OEEの最も重要な役割は、製造業に存在する「7つの設備ロス」を削減することです。
OEE改善における課題
長年製造業企業とのお付き合いの中から、FineReportは以下の典型課題をまとめました。
1、設備の全体的なステータスを明確に表すための指標の欠如
2、設備に存在する潜在ロス(見逃しロス)を把握できていない
3、潜在ロスを引き起こす要因を分析するための「トラブルシューティング ツール」と分析方法の欠如
OEE改善の考え方
いかなる企業でも、問題への対処は、問題の発生を迅速に発見し、問題点を素早く特定し、対応します。当面のロスを最小限に抑え、次回の問題発生を防ぎます。このサイクルをしっかりと回せれることが大切です。問題を素早く発見・特定するためには即時データの取得が効果的です。
以下はOEEの角度から、 改善の考え方を見てみましょう。
1、因数分解、ロス要因を検出
計画した製造コストとの差を生むものがロスです。生産設備を中心に発生しているロス、いわゆる「7つの設備ロス」は、以下のようです:
OEEを改善させ、生産性向上には、この潜在ロスを顕在化できる検出力の向上によるロスの顕在化とその撲滅が重要なポイントになります。
OEEを影響する各要因を洗い出し、データを通じて設備の稼働実態を監視し把握することで、ロスを発見し、改善策を講じます。
2、価値稼働時間を最大化させ、方向性のある改善を行う
価値稼働時間を最大化するには、ロスを分解し、改善目標を定めて、それぞれ改善策を練り、徐々に改善していく必要があります。
3、データ可視化ツールを利用し、設備稼働状況を見える化にする
製造の現場で上記の2つの考え方を具体的にどうやって展開するのでしょう。
先も言いましたが、潜在ロスを顕在化にすることはOEE改善の第一歩です。そこで、データ可視化ツールを使って、マシンモニタリングのセンサーなどのハードウェアからのデータを集計し、稼働監視システムを構築し、ロスと指標を見える化にすることです。
FineReportは、製造現場において、生産性を妨げる課題と優先して取り込むべき点をIot可視化分析し、設備OEE分析管理プラットフォームをソリューションとして提供します。システム的改善として、詳細かつ信頼できるデータ収集とデータ分析で潜在的な問題を「見える化」します。
異なるデータ活用のニーズに応じて、稼働率を影響する細分された要因の洗い出しと改善をサポートします。
FineReportのOEE分析管理プラットフォームの活用シーン
1、OEE全体監視
稼働監視システムから取得した設備データでOEEを算出し、その推移をダッシュボードで見える化します。継続的モニタリングを実現するダッシュボードによって、OEEの構成要素である稼働率・性能・品質の推移を見える化することで、現状を把握します。
FineReportには、平面図、立体図、3Dモデリングの3つの開発モードがあります。ドリルダウン機能によって、工場設備全体のOEE状況から個々の機械レベルのOEEまで、リアルタイムで確認できます。
2、OEE日報、月次レポート
多くの企業が日報および月次レポートを作成する際のコア指標として、OEEを使用しています。
FineReportのレポーティング機能で、OEE月次レポートを自動化させることができます。
月毎の全体OEE状況、稼働率、停止率、故障対応率など主要指標を集計します。月毎の予実比較も作成できます。
月末に定時で入力依頼を送信し、担当者は実際状況に合わせて、PCやモバイル端末からサマリコメントを入力できます。基準を事前に設定した場合、集計されたデータによって自動的にレポートを作成することも可能です。
毎月の定例会議で要約分析を手動で作成する従来の方法と比較して、自動化されたレポート作成は、データの正確性を確保しながら時間と手間を節約します。
3、OEE遷移作業監視
OEEの三大構成要素である稼働率・性能・品質の変動をグラフで表示し、
日・週・月単位での推移を見える化することで、稼働率・性能・品質のうち、OEEへの影響が大きい要因の把握や、改善結果の確認が可能です。
設備の稼働状況と不良品の発生状況を統合し、ダッシュボードで見える化します。
ライン単位の出来高や設備稼働状況・人の位置・モノの滞留状況を可視化、遅延要因の把握を支援します。
要因分析により、OEE低下の原因(ロス)、ボトルネックの原因追及や改善提案をサポートします。
4、OEE改善効果も見える化
可視化されたリアルタイムのパフォーマンス指標とドリルダウン分析により、関係者に実用的な情報を提供し、ボトルネック解消のための改善施策、その効果の確認という一連のサイクルを継続的に支援できます。
具体的に言えば、FineReportダッシュボードでOEEを影響する要素を見える化した上、生産ライン単位でOEEを把握して、PDCAサイクルをスムーズに回すことが可能になります。重要度と緊急度によって、改善方法の順位付けを行います。その改善効果をまたFineReportで構築したOEE管理ぷラットフォームでリアルタイムのモニタリングします。
問題に対して対策を取れた場合は、ロスの変動がリアルタイムで確認できるので、対策が有効かどうかをスピーディに判断できます。
さらに、自社の複数の工場を横断的に見える化するため、ある工場でのパフォーマンス低下を同じ問題が起きている他の工場で、適用できるかもしれないし、その判断にも活用できます。
よく使われる製造指標を紹介
下表では、製造業で重要な8つの設備指標を紹介します。需要に応じて活用し、設備の状態を把握することができます。
設備総合効率 OEE
設備総合効率= 時間稼働率×性能稼働率×良品率’
人が仕事するのと同じ、稼働率は出勤率、性能はまじめに働いて効率を発揮するかどうかを示します。製品の合格率(品質)は、仕事の有効性、ミス発生イの頻度など、タスク完了させる質と量を表します。
設備機器総合有効生産力TEEP
TEEP = OEE x (計画生産時間/全時間)
設備の効率を徹底的に反映する指標です。
この指標は、川上と川下、市場と受注の影響、設備能力のアンバランス、不合理な作業計画やスケジュールなど、設備のシステム管理の不備を浮き彫りにしてくれます。指標値は一般的に非常に低いですが、正確度が高いです。
設備保全率
設備保全率=良好な状態にある設備数/設備合計
設備全体の管理状況を反映する指標です。
設備の平均故障間隔MTBF
設備の平均故障間隔=各稼動時間の合計/故障回数
機器が故障するまでの平均値、つまり設備の信頼性を反映する指標です。
平均修理時間MTTR
平均修理時間=各復旧時間の合計/故障回数
修理にかかった時間を平均したもの、保守作業効率の改善状況を反映する指標です。
故障率
故障率=(単位時間故障発生件数/時間)
単位時間内でどの程度故障するかの確率を示す指標です。
故障率とMTBFの間には次の関係が存在します:
故障率=1/MTBF
保全度
保全度= 単位時間に修理が完了した機械の数/修理すべき機械の数
単位時間内にすべての機械において何件修復したかを示す指標です。
信頼度
単位時間内にシステムや機械が動いている確率のことです。
また故障率(件/時間)から信頼度を求める計算もあります。(故障の発生件数がポアソン分布に従い、故障の発生が偶発的場合)。故障率と信頼度の間には次のような関係があります。
R=e-λt
Rは信頼度、λは故障率、tは時間です。
まとめ
上記の事例から、OEEは生産設備の効率がどうなのか、工程のどの部分にロスがあるのかを正確に把握し、改善策を導くことができます。 OEEを見える化にするツールを長期的に使用することで、企業は生産のボトルネックを容易に特定し、それを改善・追跡して工場の生産性を高めます。